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総合日本民俗語彙とカバー

 『総合日本民俗語彙』全5巻は、柳田國男が監修して昭和30年ごろまでの日本全国に残っていた民俗語彙約3万5千語の内容・解釈を収録している辞典です(これほどのものは今のところありません、現在は、この項目すべて、国立歴史民俗博物館のサイトからデータ検索可能となっています)。これを入手したのは、おそらく大学卒業して就職してからだったと思います(学生時代には購入するほどの余裕もありませんでしたので)。

 

 数日前より思いついて、かつてフィールドにしていた地元畑野町の年中行事をまとめたものがあり、これをもう少しリメイクして新たなものにしてみようと。それで調べたリポートの中に出てくる行事名には、少し言葉の由来不明なものがあり、さりとて一般的な民俗事典などの索引にも出ていない、ということがあり『総合日本民俗語彙』をチェックしてみることにしました(歴民博のデータ検索したらいいわけですが、ま、せっかくホンモノがあるので)。

 

 それで、昔の事、思い出しました。大学に入りたての頃、皆、新品の辞書『新字源』を持参して講義に臨んでおりました。専門科目を担当していたK先生は、講義しょっぱな、教壇前に居た女子学生の真新しい『新字源』(箱に入ってビニールカバーもついている)を取り上げて「こんなもんはいらん」と言いながら、ビニールカバーを外し、くしゃくしゃにしてゴミ箱へ、ケースも教室の後ろの方へ放り投げ(ちょっとしたパフォーマンスでした)、そして、なんと『新字源』の本体に黒板のチョークの粉を投入、女子学生は「ぎゃーっ!」と叫び、周囲の学生も引いたり、中には笑っている者もいたかもしれません。そして「辞書というのは飾りで持っているものではなく、使うものだ、使い込んでなんぼや!」というようなことを話されました。そこまでしなくても、と大半の学生は思ったのかもしれませんが、そのパフォーマンスが強烈で、以後、よく使う本や辞書類にビニールカバーは不要、という文化が定着したのではないかと思っています。少なくとも私の以降の必携書にビニールカバーはありません。

 

 が、我が家の『総合日本民俗語彙』全5巻には、しっかりとビニールカバーが巻かれておりました。これまで書棚に鎮座していただけで、いかに使っていなかったか、ということです。実際、ビニールカバーが付いたままだと、何回も取り上げる際、いちいちカバーの位置を気にしなくてはなりませんし、使いにくいのです。遅きに失しましたが、ビニールは捨てることといたします。

 

 K先生の講義、おもしろかったなぁ、特に阪神タイガースが勝った翌日は何誌ものスポーツ新聞みせびらかすことから授業始まるし、負けた翌日が講義日なら、すごく機嫌が悪かった。思い出すのは『新字源』放り投げとスポーツ新聞くらいなんです。

 

 

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